地方創生・地域活性化の第一線で活躍する「地域おこし協力隊」

未だ多くの課題を抱えている「地域おこし協力隊」制度について現役の隊員および受け入れ自治体職員への
アンケートおよび直接取材を通して浮き彫りになった現状とその可能性について共有するサイトです


先進自治体に学ぶ制度を有効活用する方法① 〜協力隊導入前にすべきこと〜

 
 

今回多くの自治体職員の皆さんにご協力をいただき、地域おこし協力隊という視点でお話しをお聞きしてきましたが、その話の中でもっとも印象に残ったことは地域おこし協力隊の運用についての細かい話ではなく、「地域おこし協力隊を受け入れる自治体の職員の方々の厳しい状況でした。

様々な環境要因により身動きが取れず疲弊しきっており自治体職員としての「誇り」を失ってしまうところまで追い込まれている様子は平易な言葉で表現することは難しいです。

しかし、全ての自治体職員がそうではなく、中には「誇り」を持って従事されている職員の方々もおられることから、きっとそこには何かしらの解があるのではないかと思いますが、本ブログの目的はそこにはなく、私自身そこまで到達できる程十分な調査を行えていないため、ここではこの「誇り」を取り戻すことが地域おこし活動に限らず自治体の活動を有益にするための大きなピースである可能性が高いということだけをお伝えしたいと思います。

また、上記を踏まえ、これからの数回に渡り地域おこし協力隊制度を上手に活用している自治体のプロセスや考え方などについてご紹介したいと思います。

制度を上手に活用していると言っても視点により意味は異なってきますが、ここでは地域おこし協力隊の活動を地域おこしに繋げており、地域住民・自治体職員・隊員の3者が皆ハッピーになっている状況を指しています。

現在約900の自治体で協力隊を受け入れており、一自治体に一人の担当者がいるとしても900名の担当者がいることになり、それぞれに地域の歴史、地域を取り巻く環境、組織文化、地域住民の方々との関係など千差万別だと思いますが、それでも、受け入れ担当職員の皆さんが地域住民・役場・協力隊の三者がハッピーになれるような制度活用の一助になれば幸いです。

なお、毎回の注釈で恐縮ですが、本ブログは協力隊や受け入れ自治体の職員の皆さんへの直接取材とアンケート調査*1の結果に基づく内容になっていること、全国で約4,000名が活躍する地域おこし協力隊全員にお話をお聞きすることは困難であることからお話をさせていただく内容はあくまでも一部から全体を推測するものであり、あくまでも傾向であること、そして、ご協力いただいた皆さんに匿名での取材をお願いしておりますので、個人・団体を特定できる情報は一切掲載していないことをご理解ください。


*1 : 2016年5月から7月にかけて地域おこし協力隊のみなさんを対象に行ったインターネットアンケート。結果の詳細はこちらをご覧ください。

協力隊を導入する前に検討すべきこと

制度をうまく活用している先進的な自治体では、「目指すべき地域の姿」が何よりも先に定義されており、その実現のための手段として「地域おこし協力隊」が導入されていました。そのため、自ずと「地域おこし協力隊」へ期待することが明確になり、採用時の活動内容や求める人材像も明確になることから募集要項に記載される活動内容や応募条件は現実的かつ明確になる傾向にあります。
そのため採用後のミスマッチも少なく、隊員が「仕事がない」と感じることや多くの自治体で見られる職員と隊員との間の意識のずれも相対的に小さく、隊員が活躍しやすい土台がきちんとできている様子が伺えました。

また、「目指すべき地域の姿」を定義する上で現状の把握や目的の明確化、現実的な実行体制の構築などの工程を怠ることなくきちんと実施している様子も伺えました。

ここでは、ある先進自治体をモデルケースとし、その取り組みを紐解いていきたいと思います。


地区単位での現状把握

いうまでもないことですが、自治体職員としては管轄地域の現状をきちんと理解すると同時にそれぞれの地区に合った対策を考え、実施していくことが求められることから地域の現状把握は日常業務の一貫だと思います。

しかし、改めて地域おこしという視点で見る場合には、先進自治体では「自治体単位」ではなく「集落単位」、「集落単位」と言っても学区単位・自治会単位などの単位ではなく、昔ながらの神社を中心とした「地区単位」という人口50〜100名程度の小さな単位で地域のあり方を考えようとしていることが分かりました。

「地区単位」で考えるといっても観光資源がある地区もあればそういったものもなく休耕田がたくさんある山間部の地区もあり、地勢上・歴史文化上異なる各地区に対して「あり方」を考えていくことは容易なことではないこと思います。

しかし、それでも、50〜100人単位の地区で見ることで一人一人の顔が見やすくなること、フォーカスすべき地域の資源が明確になり易いことなどから、それより大きな規模の集落で考えるより「あり方」を考えることは相対的に難易度が下がるだけなく、そもそも取り組みやすくなることが「地区規模」で考えるというアプローチがうまくいっている要因ではないかと想像されます。
さらに、「集落のあり方」を考える上での源泉である地域住民の「思い」が見えやすく、それを実現し易い単位が「地区単位」であるということではないでしょうか。

今回お話を伺った自治体の中で「地区単位」のアプローチを取っている自治体は、規模の小さい町村のみであり、市でみることはありませんでした。
逆に市では、住民自治組織の立ち上げを目指しているという話をよく聞きましたが、一区域が数百人から場合によっては数千人規模になることもあり、100名程度の地区規模で考えているところはほとんどありませんでした。

また、行政主導で複数の集落を一つの住民自治組織にまとめようとする試みも多く見られましたが、地域住民から見えれば勝手に行政が新しい箱を作り、そこに助成金を出すから何か考えてくれと言われているように感じられ、結局は何をしていいか分からず、困っている様子も多く見れました。そして、そんな状況を見た自治体職員は「地域住民に主体性がない」と言い、ここに地方都市でよく見られる「住民の声を聞かない行政」と「主体性がない住民」という構図が出来上がる様子も垣間見ることができました。

人口規模の大きい自治体においては地区単位の自治を進めることは簡単なことではないためか取り組み自体を行っている自治体や成功している自治体は非常に少ないように感じます。
真剣に実現を目指すのであれば、これまでのやり方を大幅に変えていくことが求められ、組織作り・役割の定義や人材配置、人材育成などまずは自治体内を抜本的に改革する組織ぐるみの対応が求められると同時にそれを成功させるためには組織の長たる首長の強い意志とリーダーシップが求められることは言うまでもありませんが、組織規模は大きくなればなるほどその変革が難しいということなのかもしれません。

では、「地区単位」で現状把握をするとは具体的にどういうことなのでしょうか。

下記に先進の事例から見た地区単位で最低限把握すべきことについてまとめました。

①「人口」「人口動態」

これらの情報から地区単位での将来人口推計を行い、将来の集落の姿を可視化することが大切です。具体的な計算方法などについては、本筋から離れてしまうためここでは触れませんが、男女別・年齢階層別の人口及び出生数・死亡数、転入転出のデータから将来人口の推測を行うことができます。人口構成という形で地区の将来の姿を見ることで地区の消滅などの厳しい現実を見ることが変革に求められる危機感の共有を行うことができます。

②「家族構成」や「生活環境」

これらの情報から現在満たされていない地域住民のニーズを浮き彫りにします。たとえば、高齢世帯数に対する介護老人福祉施設の状況、子育て世帯に対する保育所整備、教育環境の状況などそこで生活する住民が持つであろうニーズが満たされているかどうかを把握することができます。また、住民意識調査の結果があれば地区単位で集計し直し、住民が課題と感じていることを地区単位で把握することができるようになり、さらに良いでしょう。
また、①の結果と合わせて見ていくことで将来拡大・縮小が求められる行政サービスの推測も可能ではないかと思います。

③「仕事環境」

地区住民が関わる農業・林業・漁業などの一次産業から製造業などの二次産業、観光業などの三次産業の現状を時系列で把握することで地域の雇用力を把握することができ、そこから将来の人口動態をある程度推測することもできます。
また、①の結果と合わせることで将来の担い手の状況などを推測することができることからたとえば高齢化が進んでいる産業においては後継者の問題から事業継続が難しくなることなども推測できるようになります。

上記を踏まえ、さらに税収への影響や税収の変化が行政サービスに与える影響などもある程度は推測することができます。


「あるべき姿」「地域おこしの在り方」を定義

前項で「地区単位」での現状把握について触れましたが、その目的はこれからお話しする「あるべき姿」「地域おこしのあり方」を定義するために他なりません。

現状を正しく理解することで浮き彫りになることとして地区単位での「現在の課題」と「将来の課題」がありますが、この二つは必ずしも独立しておらず関係していることもあれば時間の経過と共に相反することもあります。さらに、地区をまたぐ課題であることも多く、使えるお金や人材などのリソースが限られている中、最小コストで最大の効果を出せるように共通項の把握や優先順位付けを行う必要があります。

そして、それこそが「あるべき姿」の定義であり、「地域おこしのあり方」の定義そのものです。目の前にある多くの課題や将来への不安を地区単位で自治体職員と地域住民が話し合い、現在のそして、将来の地域の「あるべき姿」を話し合い、それを実現するために解決しなければならない現在の課題や将来のために準備すべきことを「地域おこしのあり方」としてまとめるということです。また、地区をまたぐ課題などについては関連する地区の地域住民が話し合いの場を持ち、方向性を決定していけるように自治体職員がサポートしていく必要があります。

つまり、端的に言えば地区の「あるべき姿」を明確にすることは、そこに到達するために実行すべきこと・すべきでないことを判断する羅針盤を作ることであり、それは、地域おこしを進めていく中でも何度も振り返り、自分たちが進んでいる方向の正しさを測る役割も果たしていくことから、とても重要なものだと考えられます。
さらに、「あるべき姿」というフィルターを通して改めて目の前にある課題や将来の課題を見てみると、「あるべき姿」を実現するために必要なアクションだけが結果的に残ることになり、それが「地域おこしのあり方」という実行計画の土台になってくるということです。

制度を上手に活用している自治体では、制度の発足とは関係なく、すべき当たり前のこととしてこのような議論・検討を行っており、本来の自治体のあり方から考えればごく自然に行き着くところであるとも言えます。


実現に向けて必要な人・物・金・組織などを明確化

現状の理解と、現状の延長線上にある将来の姿を明確にすると同時にそれらを踏まえ地区の「あるべき姿」やその実現に必要な「地域おこしのあり方」について整理ができたら、次に行うべきことは実際に実行するための体制作りです。

先進的な取り組みをされている自治体のモデルを見てみると体制作りにおいて大切にしていることは、地域住民主導の下、地域住民と自治体職員それぞれが責任を持って取り組んでいける枠組みを作っていることでした。
具体的には、「地区単位」で新たな住民組織を立ち上げると同時に役場においては地域おこしの専門組織を立ち上げ、地域住民と自治体が車の両輪となり地域おこしを力強く推進していく体制を築いていました。

そして、地域住民主導という大原則に則って考えれば「決定と実行」は地域住民が、「環境整備」は自治体が行うという役割分担を行なっている点も特徴的でした。

地域おこし協力隊の導入についてこの考え方を当てはめると、地域住民は地域のあるべき姿を考え、その実現に向けた実行計画を考えます。そして、自治体は、そのプロセスに伴走し、活用可能な制度として「地域おこし協力隊制度」を提案し、地域住民からのリクエストを受け、隊員の受け入れ準備を行うということになるのではないでしょうか。

また、自治体内に地域おこしの専門組織・専任者を配置するためにはそのための工数を確保するため業務整理や組織改革を行う必要があります。
業務整理や組織改革を行わずに組織だけ作り兼務人材を配置するという付け焼刃を行うと、これまでお話ししてきたように兼務業務のため多忙となった職員は地域住民との関係づくりや地域おこし計画の策定どころか隊員の面倒を見ることもできないという不幸な状況になる可能性が非常に高く、関係者全員が不幸になるだけでなく、協力隊の活動が地域おこしにつながらないことから税金の無駄遣いにもなりかねません。
地域住民主導だから自治体側では工数を確保する必要はないだろうと安易に考えていると後々大きなしっぺ返しを受けることになります。
「地域住民主導」とは地域住民に任せっきりにし、自治体職員が何もしなくても良いということではなく、地域住民と自治体が効果的な役割分担をした上で「地域住民」が主導するということであることを忘れてはならないと思います。

地区単位の新しい住民組織を作るためには、その組織をリードする中核人材が必要になりますが、地域おこし活動がミッションとなることを考えると、行動力・実行力があり、集落の中と外の両方の視点を持っている必要があります。
しかし、地域おこしが求められる地域は多くの場合少子高齢化と人口減少が進んでおり、そもそもその地域に長く住み、外を知らない高齢者が多いだけでなく、若者が非常に少ないことから上記のような人材を見つけることは非常に難しいのが現実ではないでしょうか。
だからこそこの地域の中核人材候補として「地域おこし協力隊」を導入する自治体が多いのではないかと考えられます。

しかし、地域おこし協力隊を導入したとしても基本的には外部の人間であるため集落の中のことは何も知らず、上記の「集落の中の視点」が欠けた状態であると言えます。
この状態で地域おこし協力隊を導入するとこれまでお話をしてきたように地域おこし活動を進めるために必要となる地域住民との人間関係作りに膨大な時間を費やすことになり、結果的に思ったような活動ができないばかりか、任期満了後の仕事にも大きな不安を抱えることになることから「集落の中の視点」を補う人材が必要になりますが、ここで活用できる制度の一つが集落支援員ではないかと思います。
つまり、実行力があり外からの視点を持つ「地域おこし協力隊」と地域住民の中から選ばれ地域の中の視点を持つ「集落支援員」が互いに補い合い、ペアとなって集落の地域おこし活動を進める体制を築いていくということです。

また、地域おこし協力隊、集落支援員共に自治体から報酬をもらうことで責任を持って役割を果たすことを期待される立場であることから、地域おこし専任職員および地域おこし協力隊、集落支援員を地域おこしを推進する大きなチームであると考えることができ、多くの正規職員を投入することなく、地域住民主導の地域おこし活動を推進する理想的なチームを構築することができると言えます。

具体的な取り組みとしては、使われなくなった古民家や公民館を新設する地域おこし組織の事務所として整備すると同時に、地域おこしを生業にする人材を投入することを目的にその地域の住民に対して集落支援員を依頼すると同時に地域おこし協力隊を配置し、その地区の住民が自分たちの住む地区について考えるきっかけ作りを行うと同時に実際に行動に起こすことを支援する環境を整備しています。

ここでの行政機関の役割は、物理的な場所の提供と集落支援員と地域おこし協力隊の配置という、あくまでも「環境の整備」を行っているに過ぎず、その上で地域のありかたを考え、実行することは地域住民に委ねていること、さらには新設された地域おこし組織と自治体の首長との間で定期的に会合が持たれ、官民協働によりあるべき地域の実現を目指しています。

また、もう一点特筆すべきは、「やる気のある地域」に対して自治体が支援を行っているという点です。公正公平であらねばならないと考える自治体としてはある地域・個人に対して行った支援は全ての地域・個人に対しても同じように行わなければならないと考える傾向が強く、そのためそこで止まってしまう自治体も多いのではないかと思いますが、「やる気があり、手を挙げた」人を支援する環境を整えているという考え方にシフトすることで、格段に取り組みやすくなり、そのため着実に前に進んでいる様子が伺えました。

「やる気があり、手を挙げた」人を支援する環境を整えることで結果的に特定の団体や個人が優遇される結果になりますが、そこに異論を唱える人がいれば「やる気があるのであればあなたも手をあげなさい。そうすれば行政は支援しますよ。」というスタンスをとれば良いだけのことであり、結果的に前向きに考え、行動を起こす人にそのための機会が与えられ、物事が前に動くことに繋がっていきます。

さらに、この自治体では、新しい地域おこし組織を推進するために行政機関からの情報発信についてはとても気を使われている印象を受けました。
全ての例記を公開しどのような処遇で地域おこし協力隊や集落支援員が活動しているかを公開していること、さらには地域おこし協力隊や集落支援員の自己紹介や活動内容を紹介する専用の冊子を作成するだけでなく定期的に活動内容を地域のケーブルテレビやローカル新聞で紹介するなどありとあらゆるメディアを活用した情報発信を行い、徹底して高い透明性を持った情報発信をしている点が特徴的でした。

この徹底して高い透明性を持った情報発信を行うことで「地域おこし協力隊ってなんだ?」というような地域住民の疑いの目を軽減できるため住民説明の工数を削減できるだけでなく余計な雑音なく地域おこし活動を進めることができ、成果につながりやすいと言えます。

ここでお伝えしたいことは、地域のあるべき姿を考えるのも地域おこしの担い手も全て「人」であり、その人の中でも「やる気がある人」に挑戦機会を与えることで、その人を中心に新しいことに取り組み、前に進んでいけるよう「環境の整備」が重要であること、そして、環境整備の一環として徹底した透明性の高い情報公開・発信を行うことが大切であるということです。

そして、これらの環境が整った時点で初めて住民主導の地域活動を行うためのベースができるということであり、そこから地域おこしが始まるということを、制度をうまく活用している自治体から学ぶことができました。

また、地域住民主導の地域おこしを実現させるためには、その担い手を如何にして育てるかが鍵であり、そのための仕組みが重要ですが、先進的な取り組みを行なっている自治体では、人材育成において大切だと言われている「成長のための挑戦機会」と「目標管理」、「成果の認知」という考え方をベースに地域おこし人材を育てている様子も伺えました。

その具体的な運用方法が活動費の運用によく現れていますが、この自治体では地域おこし協力隊が活動費を使用する大前提として事業計画の作成を義務付けていること、そしてその事業計画を首長に説明し同意を得ることを義務付けているためしっかりと説得できなければ活動費が使えないという仕組みを導入しており「計画を自分で作成すること」、そして、その計画を認めてもらうための「説明能力」を養うという機会を提供しています。

さらに計画を作るということは、当然目標を設定することが求められると同時にその進捗を報告する義務が発生します。そのため、この自治体では月に一回地域おこし協力隊の全体会議の場で進捗報告することが求められるとともに年に2回、首長に対して活動の報告をすることが求められており、人材を育成する上で重要なことの一つである「目標管理」の仕組みがしっかりと埋め込まれていることがわかります。

また、上記で記述した進捗会議の場は成果の発表の場でもあるため、がんばって成果を出したことが自分以外の他者に知ってもらえる「認知の場」にもなっており、より一層がんばっていこうという動機付けにもつながる重要な機会であると言えると思います。

地域おこし協力隊制度の運用において「成長機会の提供」と「計画作りから始まる目標管理の仕組み」「成果を認知し、さらに前に進む力を与える仕組み」の3つを備えることは、結果的に地区ごとに住民主導の地域運営をおこなう中核人材を育てることそのものだと言えると思います。

また、上記のように人材育成の仕組みを備えた地域おこし協力隊運用をおこなうことで、地域おこし協力隊制度が新たな雇用の受け皿となることにも貢献していると言え、社会的な課題解決にも寄与していると考えることもできると思います。


最後に

今回ご紹介したある自治体をモデルにした事例ですが、様々な自治体がある中で特に厳しい状況に置かれている近い将来消滅する可能性のある地区を抱えている自治体の事例であるため、リソース面で余裕のある規模の大きな自治体からするとまだまだ必要ないと感じるかもしれません。

また、中山間地域が多い自治体とベッドタウンのような地方の中核都市となっている自治体を比べればその課題も異なってくると思います。

しかし、変わらないことは急速に人口が減少し、少子高齢化によりこれまでにない極端な形の人口構造となる地域・地区があるという事実であり、その未曾有の状況に対して正しく対峙していくためには細部も見逃さずに現状を正しく理解すること、そして、その現状を踏まえ、ステークホルダー(具体的には地域住民)をきちんと話を、あるべき姿を共有し、力を合わせて未来を作っていく新しい仕組みを作っていくことだと思います。

そういう意味では実施の難易度は別として今回ご紹介した地区単位で現状を正しく把握すること、地区のあり方、その地区のあり方を実現させるための具体的な計画と実行のために必要な体制づくりは規模の大小に関わらず必要な取り組みだと思いますので、ぜひ参考にしていただきたい思います。

最後に一点お願いです。

現在昨年に引き続き2017年地域おこし協力隊向けアンケートを実施しています。

これまでに全19回となっている本ブログ「地域おこし協力隊の仕事」も昨年多くの方にご協力いただいたアンケートの結果が非常に重要なインプットとなっております。

アンケートは現役の隊員、任期満了された隊員、途中退任された隊員の皆さんが対象になります。
今回のブログの内容は主に受け入れ自治体の方向けに内容となりますが、ぜひ貴地域で活躍されている協力隊の皆さんにご紹介をいただければ幸いです。

アンケートは下記の「アンケートに協力する」ボタンをクリックいただくことでスタートします。

ご協力のほど何卒宜しくお願い致します。

皆さんの意見を聞かせください

地域おこし協力隊制度はまだまだ発展途上であり、事例やノウハウの共有が必須になります。
皆さんのご意見・ご感想などなんでも結構です。多くのコメントをいただき、本サイトが地域おこし協力隊のノウハウ蓄積・事例共有の場の一つになれば幸いです。